経営戦略と経営基盤づくりを支援するコンサルティング会社 <中小企業診断士 前田康雅>

ビジネス交渉時の質問技法

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ビジネスは交渉によって成立する。
物を売るにも、買う際にも、提携や取引の条件決めにおいても、交渉という行為抜きではビジネスは成立しない。

これらの交渉の場においては、必ず「聞く」、「話す」、「情報を共有する」、「意志を固める」という一連のやりとりがある。これがコミュニケーションであり、このコミュニケーション能力の良否がビジネスの成否を左右するといっても過言ではない。

では、有利に交渉を運ぶのに、最も重要なコミュニケーション能力とは何であろうか。
多くの調査・研究では、「聞く」能力が最も大事だと言われている。
つまり、交渉においては、顧客から如何に多くの、そしてどれだけ有益な情報を引き出すことができるか、それが成功率アップのポイントとなる。

そして、情報を引き出すには、質問の良し悪しで決まる。
つまりは、質問のスキルがどれだけあるかということであり、今回はこの「質問技法」について述べる。

伝統的な質問技法と呼ばれるものは、2つある。
一つは、限定質問(クローズド・クエスチョン)と呼ばれるものであり、もう一つは拡大質問(オープン・クエスチョン)と呼ばれるものである。

◆限定質問(クローズド・クエスチョン)
相手が、イエスかノーだけで答えられる質問である。
例えば、「一番の問題は価格ですか?」とか、
「決定されるのは、社長ですか?」といった質問話法である。

答えは、「そうです」とか「違います」で済む。

◆拡大質問(オープン・クエスチョン)
回答の内容が多岐に亘るものである。
例えば、「どのような問題があって、その中でも重要と思われている問題はなんだか、教えて頂けませんか?」とか、「いろいろな方が決定に関わると思うのですが、承認経路はどのようになっているのでしょうか」といった質問話法である。

どちらも特徴があり、優劣はないが、交渉のシチュエーションで使い分けることが必要である。

つまり、交渉の初期段階では、相手の情報をなるべく多く得ることが重要であるので、拡大質問を多用する。
その中で、相手の状況や問題点、競合の情報を探り出すのである。
例えば、「効率的な機械が最近は発売されているのですが、今まで導入について、どのようなご検討をされたのでしょうか」といったような拡大質問である。
「ご検討をされたことがありますか」という限定質問の次に、「それはどのようなご検討でしょうか」という拡大質問でもよい。

次いで、だんだん状況が掴めてくれば、問題点を確定していく。
この段階では、限定質問が多く使われる。
「問題は、××××××××ということですか」というようにストレートにぶつけて確認するのである。
問題が確定出来れば次に進むが、不明瞭な場合はもう少し拡大質問を折り混ぜて問題を発見するようにすればよい。

問題が確定できれば、当然問題解決を提案していくが、その問題が相手にとって解決すべきものであるということを認識させるように仕向けるという技法を使うこともできる。
この場合は、拡大質問が良い。
例えば「この状況を放置すれば、どのくらいの損失となるのでしょうか」というような質問である。
高等な技法であるが、使うことによって相手との交渉が突っ込んでできるようになる。

最後は、解決に持っていく質問である。
この時点では、拡大質問と限定質問を織り交ぜて、クロージングを図るということになる。。

交渉の場においては、今まで述べた質問による「聞くスキル」で主導権を取り、有利に運ぶことを意識されたい。

 

 

 

 

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