経営戦略と経営基盤づくりを支援するコンサルティング会社 <中小企業診断士 前田康雅>

ビジネスの法則6 マズローの法則

  • HOME »
  • ビジネスの法則6 マズローの法則

マズローの法則」は、社員のやる気(モチベーション)に関する法則である。

マズローは、人の欲求を5段階に分け、人間の欲求は低次の欲求から高次の欲求に移っていくという「欲求段階説」を唱えた。
この説をうまく活用すると、社員の帰属意識を高めるとともに、モチベーションアップやモラールアップにも繋がるのである。
その前に、この「欲求段階説」について少々説明しよう。

人の欲求は、下図の通り5階層に分けたようになっており、下位の欲求が満たされると、上記の欲求を目指すようになるというのが「欲求段階説」である。

     5

欲求5段階の内容は以下の通り(低次の欲求からスタート)

◆第一段階<生理的な欲求
  食べる・寝るなど、生きていくうえで必要な基本的な欲求

◆第二段階<安全の欲求
  危険のない生活・健康・経済的な安定など、安心で安全な暮らしができる欲求

◆第三段階<社会的な欲求
  家庭・会社・仲間に受け入れられ、それらのグループへ帰属したいという欲求

◆第四段階<尊厳の欲求(承認の欲求
  周囲から認められ、褒められたい、という賞賛や承認を求める欲求
  自我の欲求ということもある

◆第五段階<自己実現の欲求
  自身の素質や能力を発揮し、より完全な自己を実現したいという欲求

上記がマズローの説であるが、人間は何故努力するのか、何故頑張ろうとするのか、もう少し噛み砕いて説明する。

例えば、住むところもなく、仕事もなく、何日も食べ物を口にしてない人がいたとしよう。
その時、半日かかる公園の掃除が1000円で提示されたとしたら!
他に食べ物を得る術がなければ、例えその条件であっても頑張ってやろうと思うのである。
つまり、生きるためにはそのような条件であっても、意欲が出てくるのである。
“それが生理的な欲求”

そして、それが満たされてくると、安全(安定)の欲求が芽生えてくるのである。
もっと食べたい、住むところが欲しい、安定した仕事が欲しいなどという思いが出てくる。
日本が戦後行った終身雇用制度がその心理を満たし、急成長に繋がったのはご存じの通りである。

また、パート勤務だが正社員になりたいと思う人がいる。評価によって正社員になれるとしたら・・・
その人は、正社員になることを目指し、モチベーションが高まり、仕事に意欲が湧いてくることだろう。
“それが安全の欲求”

そして、社員として仕事が安定し、安心・安全な生活が得られたとしたら、次は周りの人と関わりを持ちたくなる。
助け合ったり、一緒に喜び合ったりするという仲間が欲しくなるのである。
“それが社会的な欲求”

それらが満たされてくると、誰かに「尊敬されたい」、「認められたい」と思うようになる。
一緒に頑張るというステージから、周囲から一歩抜きん出たステージを求めるようになる。
“それが尊厳の欲求”

ここまでを振り返ると、パートから社員へ、そして同じ社員になって仲間と頑張り、更に周りに認められて管理職へと昇格するために頑張れる、というイメージが思い浮かぶ。

そして、最終の欲求である自己実現の欲求へと進む。
人は、それぞれ自分自身の基本的な能力や限界というものが大体分かる。また、会社のポジションにも限りがあるので、昇進や昇格も果たしたいと思うだろうが、ある段階でスローダウンにならざるを得ない。それでは、モチベーションが湧いてこなくなる。
しかし、人は自分で目標を立て、それを達成することでモチベーションを高めることができる。
その目標が達成できれば、更に高い目標を掲げ、スキルも上がっていくので仕事に対し意欲が出てくるのである。
尚、この欲求は更なる目標を自分で決めるので、終わりというものがない。
“それが自己実現の欲求”

ここまでの説明で、人(社員)をどのようにすれば、やる気を起こさせることができるか、というものが大体お分かりになったと思う。

埼玉県の某中堅スーパーで、この心理を巧みに活用してモチベーションを高め、店舗運営を上手に行っている会社がある。
直接確認した訳ではないので、たまたまかもしれないが、有名な事例である。

このように、会社組織であれば、評価や個人面談で個々人のステージを把握し、ステージアップの道筋を考えていくようにすることが大事である。

優秀な社員が会社を辞める理由は、このようなモチベーションを引き出し切れていないことも、案外起因になっていると思う。
当然、人によって感じ方はまちまちである。自分を能力以上に過大評価する人、堅実に仕事をしたいと思う人など、人によって個性がある。
これらを見極めながら、個々の社員のやる気を十分に引き出すようにしたいものである。

尚、一度満たされた欲求は、それ以降モチベーションアップの要因とはならない。
会社は社員で成り立っている。十分な力を発揮させてこそ経営である。

また、経営者自らも新たなビジョンを描き、会社全体がその目標に向かって挑戦すれば、会社が活性化し、モチベーションも継続して働くようになる

マズローの法則」は、社員の帰属意識を高めるとともに、モチベーションアップやモラールアップに繋がる法則である。

 

 

 

PAGETOP
Copyright © Front-C合同会社 All Rights Reserved.