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ビジネスの法則10 ハインリッヒの法則

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ハインリッヒの法則」とは、アメリカの損害保険会社に勤めていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏が、労働災害発生には、ある経験則があるという結果を論文として発表したものである。

この法則は、労働災害防止への取り組みとして活用されている。

ハインリッヒの法則」は「1:29:300の法則」とも言われ、
労働災害における1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故が、
またその裏には300件のヒヤリ・ハットが存在するというものである。
更に、そこには数千件の不安全行動と不安全状態が存在するというのである。            Photo_4

※「ヒアリ・ハット」とは、事故には至らなかったが、ヒアリとした、ハッとしたという事例のこと

この法則をもとにして考えると、事故や災害を防ぐには、日常の行動の中で「不安全行動」や「不安全状態」をなくしていけば、重大事故の抑制に繋がるということになる。
具体的な方法として、職場の環境面の安全点検や整備、労働者への研修や監督などがあげられよう。

また、事故には至らなかったが、「ヒアリ・ハット」を日常的なミーティングで発表し合い、潰していくことで、安全向上へと繋げることができる。

具体的には、以下のことを発表し合えばよい。

①危ないと感じた出来事や事象があった
         ↓
②その出来事や事象が、危ないと感じた理由は何か
         ↓
③それが、最悪の場合、どのような事故に繋がるのか
         ↓
④そのような事故が起こり得ると思った理由や問題点は何なのか
         ↓
⑤そして、どのようにしたら「ヒアリ・ハット」が起こらないようにできるか(手順や動作)
 

このような発表を形式ばらずとも、朝礼や週礼等を活用して、交代でスピーチさせるなどの方法を採れば良い。

以上は、労働災害減少についてであったが、この法則はビジネスにも応用できる部分がある。

ビジネスへの応用

今まで、顧客からのクレームについて何度か取り上げてきたが、この法則を引用すると、会社として深刻なトラブルに至る背後には、29件のクレームがあり、その裏には潜在的な不満が300件くらいはあるということになる。

事実、某化粧品メーカーにおいて、同じクレームが度々あったにも関わらず、放置していたために、商品回収や補償という事態になり、且つブランド毀損に至ったという事例もあったことを覚えている人も多いことだろう。

つまり、顧客の不満やクレームが顕在化した場合は、必ず背後には潜在的な不満があり、顧客離れに繋がる恐れがある。
従って、出来るだけ多く且つ迅速に不満を顕在化させて、いち早く察知し、素早く対策を行うことで大きなトラブルを回避できるのである。

グッドマンの法則」で述べたが、トラブルは起こった時の誠意ある対応は当然ながら、顧客の不満が軽微なうちに問題点を回避し、満足に変え、顧客維持率(リピート率)を高めることが必要なのである。

ハインリッヒの法則は、
潜在的な問題点を出来るだけ早く潰すことで、労働事故や顧客トラブルなどの抑制に繋がることを教えてくれる。

 

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