「ホイラーの法則」とは、販売におけるテクニカル的な法則である。
米国の経営コンサルタントであったエルマー・ホイラー(Elmer Wheeler)氏が、1937年に自著『ホイラーの法則』で発表し、セールスマンに大きな影響を与えた法則で、5つの公式からなる。
ホイラーの5公式
<公式1> ステーキを売るな。シズルを売れ!
<公式2> 手紙を書くな。電報を打て!
<公式3> 花を添えて言え!
<公式4> もしもと聞くな。どちらと聞け!
<公式5> 吠え声に気をつけよ!
この中で最も有名なのが、第1の公式「ステーキを売るな。シズルを売れ!」である。
シズルとは、ステーキを焼く時の、あの「ジュージュー」という音のことである。
ステーキを鉄板で「ジュージュー」焼いている光景を見れば、思わず食べたくなることであろう。
つまりは、その商品を説明するのではなく、買いたくなるような動機づけを行えということである。
ステーキの他に電気掃除機の例を上げているが、ホイラーは次のように言っている。
・正札を売るな、骨が折れない点を売れ!
・構造を売るな、手間がかからない点を売れ!
・モーターを売るな、快適な点を売れ!
・吸引力を売るな、家が綺麗になる点を売れ!
このように、機械的な商品であれば「その使用効果」を、嗜好品であれば「欲求を満たすもの」を、といった買いたくなるような動機づけを行って、「購入したいという欲求」を喚起させるのである。
その後に商品説明を行えば、スンナリ受け入れられるのである。
最近ではTV通販でも実演販売風に説明しているが、シズルを売っているのがよく分かる。
その他の4公式について説明しよう。
第2の公式 「手紙を書くな。電報を打て!」
セールストークは、手紙のように長々というな。電報のように完結に伝えよということである。
特に、最初の10秒でビシッと決めることが大事である。現在では電報というよりもキャッチコピのようなものであろうか。
第3の公式 「花を添えて言え!」
「おめでとう」と手ぶらでいうより、花を添えていった方が効果がある。
つまり、セースルの場面では、身振り・手振りといったしぐさを取り入れたり、場面に応じた豊かな表情で訴えかける方がうまくいくのである。
言葉だけで伝えるのではなく、表情や動作を添えるのである。
第4の公式 「もしもと聞くな。どちらと聞け!」
見込客に対しては、テストクロージングを含めて、「買うか、買わないか」を選ばせるのではなく、「AとBのどちらを買いますか?」と聞くのである。
商品を選択させるようにもっていけば、商談成功率は上がる。
クロージングのテクニックである。
第5の公式 「吠え声に気をつけよ!」
上記のポイントを押さえても、「買え」という態度が表に強く出るとうまくいかない。
相手に伝えたいという熱い気持ちは大事だが、犬の吠え声ように熱くなりすぎるのは禁物である。
「ホイラーの法則」は、セールスの法則である。
発表時は画期的であったが、今の時代ではセールステクニックの標準といっても過言ではない。