経営戦略と経営基盤づくりを支援するコンサルティング会社 <中小企業診断士 前田康雅>

ビジネスの法則4 ピークエンドの法則

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ピークエンドの法則(peak-end rule)とは何か。

人は、ほとんどの過去の経験を、
「ピーク(最良または最悪)」と「エンド(それがどのように終わったか)」だけによって判定している
という法則である。

この法則はノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマン教授が発表したものである。

ある実験では、あるグループの人が大音量の不快な騒音にさらされた。
2番目のグループは、1番目の人々と同じ大音量の不快な騒音にさらされたが、その最後に幾分ましな騒音を追加した。
この2番目のグループのこの騒音聴取の体験の不快さの評価は、1番目のグループの人たちよりも低かったという結果であった。最初の同一の騒音区間に加え、不快さを抑えた引き延ばされた区間があり、1番目のグループよりさらに不快であったはずであるにも関わらずである。

この法則をビジネスに応用すると以下の通りになる。
イベントや交渉など様々なビジネスシーンにおいて、特に良い印象を与えるピークを演出する。
そして、最後も気を使い、好印象で終わるようにする。つまり、「終わり良ければ全て良し」ということを考える。

この法則を事例で考えてみよう。

事例1
たまの家族での外食、初めて行ったレストランでのメインディッシュは非常においしく満足いくものであった。
(ケース1)食事も済み、レジに向かうと誰もいない。声をかけると忙しいのであろう。不機嫌そうな顔で精算している。早く帰れと言わんばかりである。最後は儀礼的な「ありがとうございました。」であった。
(ケース2)違うシーンを想像してみよう。精算時に、レジの店員が精算しながら「お待たせしませんでしたか?」と声をかける。精算後、にっこり微笑んで「ありがとうございました。また。おいで下さい。」といって見送ってくれた。

ピーク時はメインディッシュを食べてる時である。
エンドは精算時である。

ケース1は、「ピークの好印象-エンドの悪印象」
ケース2は、「ピークの好印象+エンドの好印象」

この家族が食事をしたレストランの印象は大きく違うことになる。

事例2
私が知人から聞いた話である。
その知人が、ある中小企業を訪問した時のことであった。

その会社は、出入口に向かうように社員の机を配置している。
訪問した際は、普通に一番手前の女性が「いらっしゃいませ。」「どのようなご用件でしょうか。」と声をかけてくれた。しっかりした応対であった。
そして、用件を終えた帰り際は、ほとんどの社員が一斉に起立し「ありがとうございました。」といって、お辞儀をし見送ったというのである。

その知人は、時々この会社の帰り際の話をする。
余程、印象に残っているに違いない。

事例3
ディズニーランドは、何回もいきたくなるテーマパークである。
それぞれのアトラクションは楽しく、いろいろなセグメントの層で満足できるようになっている。
そして、最後はエレクトリックパレードと花火を見て家路に着く。

ピークとエンドが見事に演出されている。

事例4
イベントでは、夏場に各地で行われる花火大会。
最後のフィナーレは必ず盛大な演出で幕を閉じる。

このように意識した演出を心がけると、接客・イベント・顧客交渉など様々なシーンで、同じ労力でも違った効果を得ることができる。

ビジネスにおいて、商談がまとまった。
プレゼンの内容に相手は満足していた。
相手から「お願いします」と言葉があった。
自信がある時は、「何とか頑張ります」ではなく、堂々と「任せてください」と言ってみよう。
相手の信頼は格段に増すはずである。

ピークの高さとエンドの好印象を演出する。
ピークエンド法則のビジネス活用である。

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