「グッドマンの法則」とは、
アメリカのジョン・グッドマン氏が顧客満足について1970年代に行った調査・研究をマーケティングに応用したものである。
マーケティングへの応用とはどのようなことを指すのか?
皆さんも経験があると思うが、商品を買った後に不満があった場合、購入先に問い合わせることがあると思う。
その窓口の対応が良ければ満足し、
対応が悪ければ二度とこの会社の商品は買わないと思うことがないだろうか。
この心理を応用し、顧客の不満を取り除き、逆に顧客ロイヤルティを高めるマーケティング活動に活用できるのが「グッドマンの法則」である。
以前、そのジョン・グッドマン氏が来日され、講演を聞く機会があったので参加した。
グッドマンの法則には、大きく二つの法則がある。いくつかそのポイントを紹介しておこう。
<ポイント1>
財やサービスの購入に際して、
不満を持った顧客のうち苦情を申し立て、そのトラブルが解決した顧客は、
苦情を申し立てなかった顧客よりも、将来的なリピート(再購買)に結び付く。
◆リピート率(再購買率)
トラブルが解決した顧客のリピート率は60~95%だが、
苦情を申し立てない顧客のリピート率は5~30%である。
⇒ “トラブルの解決が非常に大事“だということが分かる。
◆ビジネスへの転用
顧客から苦情を積極的に受け付け、不満を解消する。
これによって顧客との信頼関係を築き、不満を持った客でもリピート客にしていくことができる。
<ポイント2>
不満を持った顧客のほとんどは、衝突を嫌がったり、あきらめ感から苦情を申し立てない。
◆潜在的不満顧客の状況
①報告された苦情件数の何十倍かの顧客は不満を抱えたままである。
②苦情を申し立てないままの顧客は10~50倍程度存在する。
⇒ “潜在的な不満顧客は多い“ということが分かる。
◆ビジネスへの転用
上記乗数を減少させるために、苦情窓口の露出度を変える。
顧客が不満を吐き出しやすくするために、苦情受付を多くしたり、分かり易くすることが大事である。
<ポイント3>
不満顧客のネガティブなクチコミは、満足した顧客の好意的クチコミを凌駕してしまう。
◆クチコミの拡がり
ネガティブなクチコミは好意的クチコミよりも2倍多くの人に拡がる。
⇒“ネガティブな口コミに注意”
◆ビジネスへの転用
購入した顧客の好意的な口コミだけに喜んではいけない。
不満顧客がソーシャルメディアでネガティブなクチコミをまき散らかさないように、常日頃から、きちんとした顧客対応を実践する。
<ポイント4>
好意的なクチコミを増やしていくには、トラブルを回避するとともに、製品価値を訴求する情緒的な顧客対応や能動的な顧客教育が効果的である。
◆CCMCによる全米不満調査(2013年)
不満顧客に対しては、お金による補償と同程度に、情緒的な顧客対応が重要だという結果あり
◆ビジネスへの転用
返金補償や交換などのお金だけで解決することは効果的でない。
むしろ丁寧で分かり易い説明をすることが非常に大切である。
グッドマンの法則のビジネス応用はご理解頂けたことと思う。
「グッドマンの法則」にて、
販売後のお客様不満を解消し、
お客様から商品だけでなく企業姿勢も評価してもらい、
クチコミを通じて企業価値を高め、販売増進につなげていける。
この法則を活用している事例は多々見受けられる。
評判のいい通販会社は必ずといっていいほど、この法則を意識していると思われる。
通販だけでなく、BtoBにおいてもこの法則は有効であると考えていいだろう。
貴社の事務員の中で評判の良い事務員いないだろうか。
顧客対応が上手な筈である。たかが事務員、されど事務員である。
貴社の顧客対応姿勢はどうだろうか?
改めて見直し、体制や社員教育を再考してみては如何だろうか。